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番外編

第二部はIKEUCHI品質をつくる“ヒト”たちが登場

番外編

第二部はIKEUCHI品質をつくる“ヒト”たちが登場

タオルを作り製品として出荷するまでの工程は一般的に、タオルができるまでに紹介しているような13の工程を経て出荷されます。そのうち、糸がIKEUCHI ORGANICに入荷して、整経(せいけい)を行い伸べに糸を巻いてからは、イケウチのヒト第一部で紹介された機場の職人たちが織機を稼働させ製織(せいしょく)、糸を生地にします。

織り上がった生地を解反で検品し、協力企業の染色工場へ出荷、糊抜き、染色を行います。糊抜き、染色を終えた生地は一旦IKEUCHI ORGANICに戻り、社内の縫製部門や協力企業の縫製、刺繍会社へ再度出荷され、縫製、刺繍などが施されます。その工程を経て、はじめて皆さんがいつも目にする1枚1枚のタオルとなるのですが、ここからさらに1枚ずつ人の目で検品を行い、袋詰やギフトの箱詰めなどを行い小売店や直接お客様の元へ出荷されます。

第二部となるvol.9からは、IKEUCHI ORGANICの品質管理や検品に携わる人を中心にお届けします。織り上がった生地が製品になる工程で出てくる、染色工場や縫製会社など協力企業の人々についても機会を見てイケウチのヒトでお伝えできればと思っております。

タオル産地今治について

1社で完結しないタオル製造が行われる背景となった、タオル産地今治が歩んできた歴史。その歴史をひも解くと先人たちの知恵と行動力で切り開かれた今治タオル産地というのがわかります。これらを知ることにより、一地方都市である今治でなぜIKEUCHI ORGANICの様な企業が登場したのか? その姿が見えてくると思い、日本一のタオル産地今治の事を下記に記しましたので第二部の前に、ぜひご一読下さい。

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120年前に織機4台から始まった今治のタオル

江戸時代より綿花栽培に適した気候であった今治地方は、木綿製織が盛んに行われる様になりました。明治27年(1894年)に阿部平助により織機4台でタオルの製造が始まりますが、明治末期までは国内主力産地ではありませんでした。当時の主力産地は、大阪、兵庫、愛知などで、これらの地域は当時贅沢品であったタオルを、消費者の多い海外へ輸出して産業として栄えていました。現代よりはるかに交通の便が悪い当時の今治地方では、そのような販路もなく、さらに先進産地との技術交流も少なく、タオルの品質も粗悪であったためこのような状況になっていたのです。

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技術者の知恵で一躍国内屈指の産地へ

そんな状況から、今治のタオル産業が躍進を遂げたのは明治43年(1910年)に麓 常三郎(ふもと つねさぶろう)による改良織機の発明でした。その後も、先染め糸で織る手法など技術革新で品質、生産量向上を果たし、大正10年(1921年)に和歌山、愛知、兵庫の産地を抜き、大阪に次ぐ国内2位の生産を誇る産地となりました。その後、戦時中の空襲で大被害を受けるも、順調に産地として成長、昭和35年(1960年)には今治が発祥となったタオルケットが大ヒットし、大阪を抜き生産量日本一のタオル産地となりました。

バブル崩壊、輸入タオルのダブルパンチ

その後は1970年代のオイルショックで多少の落ち込みを見せるものの、平成3年(1991年)に生産量50,456トンのピークまで成長します。しかし、その後はバブル経済の崩壊、輸入タオルの増加で平成21年(2009年)まで18年連続で減少。生産量はピーク時の5分の1、9,381トンまで下がり、最盛期には500社近くあったタオルメーカーも100社あまりまで減少しました。

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IKEUCHI ORGANICへ繋がるファクトリーブランド化

国内タオル業界に逆風が吹き荒れる中、池内タオル(当時)は1999年に当時OEM主体であった今治のタオルメーカーには珍しい、ファクトリーブランド展開を開始しました。“今治タオル”ブランドが世に出る8年前の出来事です。環境に優しく、安全なオーガニックコットンを使ってタオルを作る。ブランド名をIKTと銘打ち海外(北米)に展開します。平成14年(2002年)にニューヨークで開催された北米最大級の日用品、雑貨の展示会「ニューヨークホームテキスタイルショー」(現NY NOW)にてNew Best Awardを受賞しました。その受賞を経て、翌年には日本国内でもマスメディアで取り上げられ、「風で織るタオル」の名前とIKTブランドが広まりました。

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再起をかけ、産地ブランド化へ

この頃今治では、産地全体としての危機感はより切実となっていました。四国タオル工業組合はタオル産地今治の復活をかけ、今治タオルブランドのプロジェクトを平成18年(2006年)より本格始動。クリエイティブデザイナー佐藤可士和氏を迎え、現在の今治タオルブランドロゴなどを平成19年(2007年)に発表しました。それから3年後の平成21年(2010年)に今治産地でのタオル生産量は増加に転じ、高品質のタオルを製造する、産地ブランドとして国内で認知されてきたのは、みなさんご存知のとおりかと思います。

日本一のタオル産地が進む道

バブル経済崩壊後、斜陽産業となってしまったタオル業界ですが、今治地域では、価格訴求だけではないこだわりの製品、数値的な裏付けを持った高品質のタオルを武器に復活の足がかりとしています。先人も知恵でつかんだタオル産地日本一の称号。そのDNAを継ぐ今治の各メーカー、IKEUCHI ORGANICは生き残りをかけ、日々、新たな挑戦を行っています。

文/神尾 武司
フォトグラファー/木村 雄司(木村写真事務所)

※参考文献・サイト
本邦タオル工業誌 日本タオル工業組合聯合社
「つらぬく」経営 エクスナレッジ
今治タオル奇跡の復活 朝日新聞社出版
今治タオルの歴史 テクスポート今治http://www.imabari-texport.com/learning/history.html

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