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Vol.50

私たちの製品は食品という考えのもと、最大限の安全性を追求する

私たちの製品は食品であるという考えで安全性を見直し、2015年にIKEUCHI ORGANICは食品工場の安全基準である「ISO-22000」をタオル業界で初めて取得しました。その認証取得の陣頭指揮を取り、現在は管理責任者をつとめる曽我部さんに「ISO-22000」への想いを語ってもらいました。

業務推進室室長/ISO管理責任者 曽我部

私たちの製品は食品という考えのもと、最大限の安全性を追求する

働くみんなの理解のうえに成り立つ「ISO-22000」

今治本社工場にて、業務推進室の室長と兼任して、「ISO-22000」の管理責任者をしている曽我部です。

私は生まれも育ちも今治で、この会社で働く前もタオル会社で働いていました。

IKEUCHI ORGANIC(当時は池内タオル)に入社したのは2003年で、今の役割を任される前はタオルの設計の仕事を長く続けてきました。ものづくりが好きで、自分が手がけてきたタオルたちは、代表(池内計司)の言葉じゃないですが、自分の子どものような感覚があります。

現在は、ものづくりの仕事は他のメンバーに任せて、ものづくりを行う環境を整備する仕事についています。

今治本社工場では2015年に食品工場の安全基準である「ISO-22000」を取得しました。

工場見学に来た方ならご存知だと思いますが、工場の中に入っていただく際にはシューズカバーとキャップを着用していただいています。これは食品工場の安全基準を採用しているからです。この他にも、「ISO-22000」に基づいた様々な決まり事があります。

この「ISO-22000」は一度習得したら終わりというわけではなく、その基準が守られているかの審査が毎年あります。基準の内容自体もアップデートされていくので、更新された内容をキャッチアップし、都度対応していく必要があります。また、3年に1回は大きな審査があり、その審査のための準備も進めていかないといけません。

新しいルールをつくったり、マニュアルを改編したり。審査に向けて、日々の作業を記録としてまとめて、報告書を作成したり。そうした細かい作業の積み重ねが求められます。

もちろん、新しいルールを作っても、工場で働くみんながそれを実際の行動に移さないと意味をなしません。現場には現場の慣れたやり方があったりするので、時には衝突することもあります。その場合、どういう着地点が一番いいかを腰を据えて話し合っていきます。

このように「ISO-22000」を継続していくのは決して楽なことではありません。働くみんなの理解と協力のうえに、成り立っているものだと感じています。

私たちの製品は食品であるという考え方

そもそも「ISO-22000」の取得が決まったのは、会社の方針として「2073年(創業120周年)までに赤ちゃんが食べられるタオルを創る」を掲げたことでした。

それまでもIKEUCHI ORGANICでは、企業の環境マネジメントに関する国際規格である「ISO-14001」や、製品の品質保証に関する国際規格である「ISO-9001」を取得していたので、ISO規格への理解は既に私の中にありました。

ただ、食品工場の安全基準である「ISO-22000」の取得を目指したいと、代表から告げられた時は、さすがに驚きました。そもそも取得できるかが疑問でした。実際、タオルが食品会社の認定であるISOをとった事例はないため、認証機関の方々も最初はかなり困惑してました(笑)。

色々なところに相談をする中で、あるコンサルティング会社の方から、「タオルはコットンという食べない野菜から生まれる製品であるため、食品安全マネージメントシステムにおける食品を『フーズファブリック』と置き換えて定義してみてはどうか」と提案をいただき、現在もこの形で認証を進めています。

フーズファブリックという概念が生まれてから、私自身のタオルに対する見え方も変わるようになりました。私たちのタオルの原材料はオーガニックコットンで、確かに食べられない野菜です。であれば、私たちの製品は食品であるという考えもしっくりきます。

また、「ISO-22000」の中には「フードチェーン」といって、一次生産者から、食品製造会社、食品卸や小売業を経て、最終的な消費者に至るまで、全ては繋がっているという概念があります。これは、私たちのものづくりの考えと重なります。

最初は何かの冗談かなと半ば思った「ISO-22000」の取得ですが、管理責任者としてこの規格に向き合っていくうちに、IKEUCHI ORGANICが取得すべき規格だと感じるようになりました。

地道な取り組み先に、掲げた未来がある

「ISO-22000」を取得する以前から、私たちの会社は安全性や品質管理といった面には厳しい会社だったと思います。ですが、「ISO-22000」の取得により、その意識は一段と高まったように感じています。

製造の現場でいうと、品質チェックの回数が増えたり、チェック項目が増えたりしています。そうした日々の作業の変化により、現場の人たちの意識も自然と変わってきたんじゃないかなと思います。

やはり、どんなにマニュアルやルールが整備されていても、それを実行するのはそこで働く人間なので、意識が損なわれてしまえば簡単に形骸化してしまいます。

何のために自分たちは定められたルールを守るのか。何のために細かくチェックをしていくのか。その目線合わせを社内でしっかり行うために、何をどういう風に伝えていくべきかをすごく考えるようにしています。

地道な取り組みではありますが、安全性をコツコツと積み重ねた先に、目標として掲げている「赤ちゃんが食べられるタオルを創る」という未来が実現するはずです。

企業理念である「最大限の安全と最小限の環境負荷」に恥じないものづくりの環境を、しっかりと整え続けていきたいです。

インタビュー2023年7月
取材・文/井手 桂司
フォトグラファー/木村 雄司

業務推進室室長/ISO管理責任者 曽我部

オススメのタオル:オーガニック960

業務推進室室長/ISO管理責任者 曽我部

以前はストレイツオーガニック240でしたが(今も好きですが)、 現在はオーガニック960が好きですね。。やはり先染タオルの風合いは大好きです。 家族や友人などに勧めるならこれですね。少し分厚い感じはしますが、そこそこの 重量感と拭き心地が気に入っています。

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