この60センチの薄手で、洗濯する人にとってはすごくいいタオル。拭き心地も十分ですしね。必要十分で満足できる拭き心地ということで愛用しています。
Vol.10
池内計司に追いつけ品質管理のキーマン
IKEUCHI ORGANICを一言で表すと、「建前抜きにバカ正直にやっている会社」と断言する矢野さん。製品開発・品質管理を一挙に担い、現在初夏に発売予定のオーガニック960の開発を担当しています。均一な品質ではないオーガニックコットンを使用しながら、製品の質を高めていくことの難しさ、池内計司から盗めるだけ盗みたいと意気込み、現状に対する危機意識についても語ってくれました。
品質管理/製品開発設計課 課長 矢野

様々な部署で経験して培った視野の広さ
――矢野さんが入社されたのはいつ頃ですか?
5、6年前に入社して、1回辞めたんやけど、2年ぐらい前に戻ってきました。もともとは営業企画募集で入って、まず機場(はたば※1)に入って、2年ぐらい経験して出荷に移って、それから1、2年ぐらい経った頃にカンブリア宮殿の放送(※2)があって。放送後に注文が殺到して、あまりの業務量に倒れてしまって(笑)。それが辞めるきっかけというか(笑)。
――戻って来られてからも出荷を担当されていたのですか?
帰ってきて1年ぐらいは出荷の方にいて、それからちょうど1年ぐらい前に企画の部署に移動となって今の仕事を。だからIKEUCHIでは、機場、出荷、商品管理と色々経験しています。
IKEUCHIクオリティの番人、品質管理担当へ
――今担当されている業務内容を教えてください。
製品開発と、品質管理を兼任しています。製品開発をひと言で言うと企画ですね。設計とかデザインとか。品質管理も言葉の通りですね。たまに全社員にメールを送っている(※3)と思いますがあんな感じで。こういう情報(製造過程での不具合や、出荷後の商品の不具合等)があったので、どこを直そうみたいなのを、やらせてもらっています。
嘘をつかず妥協しない 圧倒的な品質レベルへの到達
――品質管理を担当していて苦労されている点はありますか?
よくIKEUCHI ORGANICは「嘘をつかない、オーガニックな会社」と(対外的にも)言ってますが、建前抜きにバカ正直にやっている会社です。ここまで本気にこだわらなくてもよかろうが、と思うぐらい。おかげで、こっちがどれだけB品率(※4)に苦労しているか。
――この前も東京ストアにB品が届きましたけど、これのどの部分がB品か、誰も区別つかなかったです。
B品の基準がうち(の会社は)高いです。オーガニックだから(※5)。本来はオーガニックだから仕方ないと妥協すればよいんですけど、しないんですよ。どっか妥協してくれとは思うんですけどね(笑)。
エンドユーザーの声を直接聞ける機会に感謝
――仕事をしていて嬉しいときはどのようなときでしょうか?
やっぱりお客様の反応ですね。以前働いていたタオル屋(会社)は問屋相手の商売だったんで、(エンドユーザーである)お客様の声は直接聞けることはなかったんです。IKEUCHIの場合も5、6年前はそこまでお客さんの声はそこまでダイレクトに聞こえなかったんですけど、最近ショップやWEBの売上がすごい伸びているじゃないですか。そうなったときに反響もダイレクトに聞こえてくるし、お叱りの言葉を頂くときは頭痛いですけど、それを含めてうちの商品に対する生の声っていうのは、ありがたいし、凄い会社だなと思います。ここまでエンドユーザーの声を直接聞くことができる会社というのもなかなかないと思います。
6年間のニート期間からタオル業界への復帰
――個人的な興味で恐縮ですが、矢野さんのプライベートの過ごし方を教えてください。
引きこもりなのでモンハン(※6)を(笑)基本ニート属性なので。前のタオル会社からIKEUCHIに入るまで6年ぐらいニート期間があって。25歳から、31歳までニートでした。
タオル屋の知識を生かしたかったんですけど、かといって前の会社の商売敵に行くのは嫌だなと。で、たまたまIKEUCHIの求人を見て、ここだったら自分の知識も生かせるし、問屋商売をやっていなくて、流通経路が全然別やから、前の会社にも迷惑かけへんと思って。
ストレイツはIKEUCHIの方向性を決めたタオル
――矢野さんのお気に入りのタオルについて教えて下さい。
ストレイツ2です。元となったストレイツがIKEUCHIオリジナルの方向性を決めたタオルで、そのデザインを引き継いで、なおかつ完全オーガニックになった。IKEUCHI ORGANICに社名変わったときに新しく生まれて、節目節目でストレイツというタオルが記念として登場していますね。
(ストレイツ2は)ウチの他のタオルと比べて違うのが、ポリエステルが少しだけ入っているのと、何より幅が短い、60センチ幅。最近は72センチ幅のバスタオルが主流で、拭く分には大きくて気持ちが良いんですけど、洗濯する方からするとすごい大変で、オカンのクレームが凄いんですよ(笑)。お前んとこのタオルは洗濯機が重くて、他の(洗濯物)があんまり入らんから使うなと。で、この60センチの薄手で、洗濯する人にとってはすごくいいタオル。拭き心地も十分ですしね。必要十分で満足できる拭き心地ということで愛用しています。
この先を見据えて池内計司から、愚直に学ぶ
――今後、会社でどの様なことをやりたいですか?
今の部署に移って1年経ちました。まだまだやり始めたばかりですから、ここから先の展望は難しいんですけど。今、ウチの会社は社長におんぶにだっこの部分が大きいので、見積もりの部分とか、基本設計とかすべて社長が決めて、それに沿ってですから、いずれは社長から卒業していかないといけない。この先やりたいことというか、この先を見据えて社長から盗めるだけ盗もうと思っています。やっぱり良くも悪くも、IKEUCHI ORGANICイコール池内計司のカラーが強いから。
そんな中で、今までのIKEUCHI ORGANICだったら、こういう場(媒体を使ったインタビュー)っていうのは池内計司が出て答えるというのが(当たり前だった)。こうやって社員がひとりひとり出て答えていく、これはこれで面白い取り組みだと思いますね。
インタビュー2016年1月
取材・文/牟田口、神尾
フォトグラファー/木村 雄司(木村写真事務所)
注釈
※1:生地を織る、製織の担当
※2:2011年12月にテレビ東京系の同番組で池内タオル(当時)が取り上げられ話題となる
※3:品質管理報告など、品質管理で起きていることを社内メールで周知している
※4:傷、汚れ、糸仕様の間違い、製織時の不具合等で製品にならないもの
※5:一般のコットンに比べオーガニックコットンを使った糸の品質にはバラつきが多い
※6:『モンスターハンター』家庭用のビデオゲーム
イケウチのヒト
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Vol.36
ものづくりをご一緒しながら、IKEUCHI ORGANICのファンを広げていく
ものづくりの現場とお客様の架け橋となってIKEUCHI ORGANICのファンを広げていく。法人営業担当の笹野さん。
法人営業担当 笹野
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Vol.35
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ものづくりに専念すると宣言をした代表池内の想いや新製品のオーガニック960の裏側、社長阿倍が考えるIKEUCHI ORGANICの道しるべ
阿部・池内
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Vol.34
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