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人と自然を考えた染色方法『ローインパクト・ダイ』

2022.12.19

人と自然を考えた染色方法『ローインパクト・ダイ』

目次

タオルの製造工程において最もエネルギー消費が多い染色工程。IKEUCHI ORGANICでは、最大限の安全かつ環境負荷の最も少ない染色を目指す『ローインパクト・ダイ』という考えに基づき、タオルを染色しています。

 

海の水より透き通る廃水処理をする染色工場

タオルの製造には、大量の水が欠かせません。製品になる前の糸は製織性を確保するための糊でコーティングしてあり、それを大量の水で洗い流し、染色してから製品となります。糊の洗い落としや染色で使用された廃水は日に1000トンにもなるため、これだけの大量の廃水を処理する施設が必要となります。

IKEUCHI ORGANICでは、​​愛媛県西条市に位置する染色工場『INTERWORKS(インターワークス)』で最後の染色工程を行い、廃水はここで処理をしています。

この施設は1992年に誕生したもので、IKEUCHI ORGANIC(当時は池内タオル)を含む今治にあるタオル関連企業7社が、徹底して品質にこだわる日本製のタオルをつくろうと立ち上げました。

瀬戸内海には、『瀬戸内法(瀬戸内海環境保全特別措置法)』と呼ばれる、世界でもっとも厳しいとされる廃水規制が敷かれており、新設の廃水処理設備はその基準をクリアする義務が課せられています。

こうして完成した工場の浄化施設は、オリンピックの公式プールほどの広さで、地上3階、地下2階という巨大な建物でした。一日の廃水処理能力は2000トン。バクテリアによって長時間をかけて処理するものです。施設からの廃水は「海の水より透き通っている」とまで言われ、テレビ番組のニュースで取り上げられたこともあるほどです。廃水基準はCOD15PPM以下が義務付けられています。

私たちが化学染料を使う理由

IKEUCHI ORGANICでは、漂白においては塩素などの環境負荷の高い化学物質の使用を避け、染色においては鉛・銅・水銀といった重金属を含まない染料を使っています。ただ、化学染料が全て悪いと言うつもりはなく、化学染料のなかにはアレルギーの原因となるものを含んでいるものがあるため、それを排除しています。

 

こうした考えは、オーガニックコットンの商品化に世界初で成功したノボテックス社のライフ・ノルガード氏から教わったものです。「しっかりとコントロールをしたうえで、化学薬品を使うのが一番安全」という教訓を活かしています。

 

あとは、染めたタオルに残った染料や化学物質をどこまできっちりと洗い落として、お客様にお届けするかが重要となります。IKEUCHI ORGANICでは石鎚山系を源流とする清らかな地下水を使用し、糊を洗い落とし、色を染めたのち、6時間かけて丹念に洗浄していきます。

 

そして、化学薬品を使っていても安全であることを確認するため、テキスタイルの安全性において国際的な権威もあり信頼性も高いスイスの機関『エコテックス』で最終製品のテストを行っています。その認定ランクは4段階に別れていて、最上位のクラス1は「乳幼児が口に含んでも大丈夫なもの」となっており、私たちのオーガニックタオルとバンブータオルはこのクラス1のお墨付きをもらっています。

 

オーガニックと謳っているのに化学薬品を使うことに対して、ご指摘をいただくことがあります。ですが、製品の品質と寿命を考えると、必要最低限の化学薬品を使う判断も、あってしかるべきなのではないかと私たちは考えています。

 

タオルはまずは優れた吸水性に加え、肌触りなどの風合いだけでなく耐久性も要求される、あくまでも日用品です。世に出した製品をお客さまに出来るだけ長く使っていただけるよう、その寿命を長く保つこと自体が環境に与える負荷を低減することになります。安易に買い替えを促すモノづくりを、私たちはよしとしないのです。

ローインパクト・ダイに関する考えについて、代表池内のblogでより詳細な内容をお読みいただけます。
IKEUCHI ORGANIC 代表の部屋

イケウチオーガニック

記事を書いた人

イケウチオーガニック

1953年創業、今治タオルの専門店IKEUCHI ORGANICのスタッフが、商品のご紹介や日々の洗濯、お手入れ、メンテンナンス方法などタオルのお役立ち情報のほか、オーガニックコットンの生産現場や今治本社工場での環境に配慮した取り組みなど、ものづくりの背景をコラムでご紹介しています。