最新作オーガニック960制作秘話を語る 社長阿部・代表池内インタビュー 後編

インタビューの後編では、阿部・池内コンビで製品化された2年ぶりのタオル新作『オーガニック960』の制作話や、自ら実践したヴィーガン(徹底した菜食主義)体験を元に気づいた、オーガニックな企業経営に大切な社長阿部の発想・原理について語っています。ロングインタビューの最終回をどうぞ。

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やっとものづくりに専念できる

――池内代表にお聞きしたいのですけど、代表になって一番やりたいことは?

池内:僕マネジメントほんと全然好きじゃないんで、やっぱり得意な分野は得意な人がやればいいんで、ほんとにずっとものづくりをやりたい。だからやっとものづくりに専念できる。この33年間ものづくりは十分にできなかったという気持ちがあるので。

――ものづくりといえば、6月に発売された新シリーズのオーガニック960について、コンセプトは池内代表が決めて阿部社長が色を決めて制作されたそうですが、うちの会社の商品は、商品も人格を持っていると思うんですね。960はどんな商品でどんな方に使ってもらいたいというのはありますか?

池内:960はうちの基本形の(オーガニック)120を現時点でやりたいことをやったら960。960は120の延長線上です。まあだからそういう面では来年できることはもっと違うものかもしれないけど、120から732まではオーガニックでできるいろんなタイプの風合いを提示してきているんだけど、960は120をあらゆる面で一番やれるところまでやったところだと思ってます。

――960はIKEUCHIマニアに使ってもらいたいですか?

池内:昔からうちのブランドを使ってくれている方からすると成長、進化のひとつかなとわかるんじゃないかと思います。

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配色でずっと温めている構想は動物の毛の色

――阿部社長はいかがですか? 今回960の色を担当されて実際に製品を見た感想は?

阿部:色は、もっとゆらぎを表現したかったんですよ。色出しをカラーチップでやって、これだけの濃淡をつければもっとゆらぎ感が出ると思ったんですけど、特にベージュとアイボリーに関してはわかんなかったです。だからもっと差をつけていいんだなと。ただ色は深いですよね。普通の後染めよりは見る角度によって違うしああいうのはいいなあ。次やり直しさせてもらえるとしたら…

(間髪入れず)

池内:やり直しなんてしないよ!

(一同笑)

阿部:新色を出すとしたらですね、ずっと温めている構想が動物の毛なんですよ。動物の”毛”。うちのプレーリードッグから採った色を見て合わせて作った製品が、他社であるんですけどめっちゃいい色なんですよ。だから自然のものから色を採って、ゆらぎを合わせていくとすごいやさしい、あぁいいね。という色になると思うんです。

そこを見ないで、代表にいつも怒られるんですけど机上で考える、エクセルだったりイラレ(※1)の配色で考えるんだけど、それは頭で考えることだからそのソースを自然から採ればよくてストレイツも自然の波模様から採っているもので、自然にはかなわないから自然から色を採って考えればよかったと今反省しています。

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IKEUCHI ORGANICは思った方向にいかない

――池内代表は阿部社長に、こういう気持ちで会社を経営して欲しいとか、助言とか注文とかはありますか?

池内:これはね、僕にビジネスを全部教えてくれた南慎二郎さんという松下電器の方がいて、最初その人の下についてマーケティングをやって企画をやったときに、売上が上ブレすると褒めてくれると思ったら、めちゃくちゃ怒られて。「企画するものは上ブレしても下ブレしても企画が間違えている。外れてもいいなんて思ってるからゆるい計画になっている」と。それと、(南氏は)ものづくりのトップでもあったので、「良いことも続かないし悪いことも続かないから、良いことがあるときは悪いことが起きるし、悪いことがあるときは良いことが起きるから、そういうこと前提でモノ作りを考えていかないと」と言われたり、いろんなことを教わって、そのときは全然わからなかったけど今振り返ってみるとその通りだよね。

特にIKEUCHI ORGANICは思った方向にいかない。この17年間でみると必ず1年後は良い方向にいっているんだけど、思った方向にはいかない。だから楽しいねん。だから僕はどういうふうに(会社が)動いていくのか、僕も楽しみながら見ていこうという感じ。

ただ僕は、1983年2月11日の30周年に入社するつもりが、2月4日に先代の社長が亡くなってしまったので葬式で、「僕が社長をします」と引き継いで、引き継ぎが全くないというゼロでやれたのがすごく良いことで。突然死ななかった場合は、元気なうちに引き継いでアドバイスできることが一番いいと思って。残念ながら突然死ななかった(※2)ので、元気なうちに引き継ごうと。

――代表が阿部社長に引き継ぐのは、だいぶ前から決められていたと思うのですが

池内:だって選択肢ないでしょ! 外部からもってくるということは絶対ありえない。特に、僕の子ども(IKEUCHIの製品)を育てる人は事情を知っている人じゃないと。

――それが阿部社長だったら、IKEUCHI ORGANICの方向を間違えないという確信があってのことですか?

池内:そうそう。だからせっかく社長になったんだから早くヴィーガンに戻って、見るからにストイックな社長に期待しているんだけど(笑)。

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身体のことは心に、企業の運営はお客様に聞く

阿部:ヴィーガンは実験していたんですよ(笑)。やっぱり諸説あるじゃないですか。マクロビ(マクロビオテック※3)だったりヴィーガンだったり。オーガニックの世界にも諸説あるんですよ。農業の世界でも諸説あるんですよ。今ね、諸説がいろいろある中で、みんなが戦っているんですよ。これはおかしい図式ですよね。それだったら自分で実験してどの諸説を支持するんだろうと、実験しないとわかんないわけで表現的に見ていてもわかんないので、(ヴィーガンを)始めてみたんです。

そしたら僕の場合は体重軽くなって、体脂肪も減ったんですけど、肌が乾燥してかゆくなってしまった。これはもしかしたらケミカルな石鹸のせいかなと思って、石鹸を変えてもあんまり良くならなかったから、これ動物性をとらないといかんのかなということで戻して、わかったのは、要はバランスだなということがわかって。

どれが正しいというのはなくて、自分の身体に聞けば多分一番正しくて身体に聞けというのは心を聞けということだと思うんですよ。心に気持ちいことをやっていれば健康でいられると思うし、農業も土に聞けだと思うんですよね。土に聞いて答えを出してくれる。だから、企業の運営もやっぱりお客さまに聞く、社員に聞くことだと思っていてそこが僕の発想の原理。

オーガニックな企業にも終わりがない

――最後に阿部社長、ファンに向けて今後こういうことをやっていきたい、ファンにこういうことをやりますよというメッセージはありますか?

阿部:オーガニックの道はいろいろ考える。例えば最大限の安全と最小限の環境負荷という考え方に終わりがないのと一緒で、オーガニックな企業にも終わりがないと思うんです。そういう切り口で考えると今の行動は合致しているのか? と言われると多分していない部分もある。どこの会社も。それを少しでもそれに近づけていくことが企業努力であり成長であると思っています。なので、皆さんが考えるオーガニックの会社であったり製品というのと我々が発している製品だったり情報だったりのギャップがあったら教えていただきたい。それを改善していくのが企業の使命と思っています。

――どういう形で声を吸い上げることができるでしょうか?

お叱りであったり、メールでいただいても結構ですし、店頭でイベントをやって我々の考えを伝えさせてもらったときに「ん?」と思ったことはその場で聞けなくても、すぐにお寄せいただきたいなあと。そういうことすべて100%お答えをご用意できているわけではないので、そこが我々の改善のポイントなのかな。すぐ出来る、出来ないはあるんですけど、そういう声を貯めていって出来ること出来ないこと優先順位をつけていって、理想に近づけられるような会社にしたいです。

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インタビュー2016年6月
取材・文/牟田口・神尾
フォトグラファー/木村 雄司(木村写真事務所)

阿部・池内のコンビで作り上げた新製品
・オーガニック960

注釈
※1:Adobe Illustrator 業界標準グラフィックデザインの定番ソフトウエア
※2:代表池内は、2016年年頭に長期休養を余儀なくされる体調不良を起こしたが、回復し職場復帰した
※3:伝統食や居住地で採れる作物を主体とした食事による長寿法。食事法については、玄米菜食、穀物菜食、自然食などがある

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