若き職人の静かなる闘志

製織担当 藤本

入社5年目の藤本さん。NHKのTV番組「サラメシ」に登場した際は、職場での奮闘ぶりと、昼食に豪快な自作オムソバを作る姿が印象的だった彼。今は若手職人として技術を教わる側ですが、社が掲げる2073年に食べれるタオルをつくるためには、彼の成長が不可欠です。今期は従業員代表にも選ばれ、社内でもワンランク上の活躍を期待されています。職人気質で多くを語らない彼が、現状の会社の課題や技術習得に対する悩み、展望を率直に語ってくれました。

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職業訓練校にも通い、技術を習得

――IKEUCHI ORGANICに入ろうと思ったきっかけをお聞かせ下さい

元々ガソリンスタンドでアルバイトをしていて、ハローワークで求人があったので受けてみようかなと思って。

――藤本さんが一番最初にした仕事や、入社当時のことは覚えてますか?

最初に覚えた仕事…結構バタバタしていて、曖昧にしか覚えてないですけど。半日訓練校(※1)で、半日こっち(会社)で仕事をしていて。 

――訓練校ですか?

職業訓練校です。タオルを作るに当たってのひと通りの流れを勉強できるというので、訓練校に通っていました。(製織の)データをつくるところから。フロッピー(※2)からデータを読み込ませて、糸をつない繋いで、整経(せいけい※3)したり染色して、検品して。ひと通りやった感じです。

――タオルは今治の地場産業なので、公的に支援態勢があるんですね。今でもそのカリキュラムはあるのですか?

今もあります。

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織機によって織れる製品が違う

――藤本さんは入社して、最初は誰に教わったんですか?

阿部さん橋田さんから、入れ替わり立ち替わりで教わりました。

――藤本さんが担当している織機(しょっき)はどの織機でしょうか?

自分はエイト(TOYODA8 ※4)ですね。

――織機ごとにどのような特徴があるのでしょうか?

まず、織機によって織れる幅が違うので、織れる製品が違います。あとは、一度にどれだけの枚数が織れるかも織機によって違います。1日にタオルハンカチを2,000枚も織れる織機もあれば、1,000枚織ることができない織機もあります。

――藤本さんが担当しているエイトではどれぐらい織れますか?

1日1,000枚ぐらい。スルーザー(※5)だと2,000枚ぐらいは織れます。

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覚えることは尽きないと思うんです

――仕事をしていて、どんなときにやりがいを感じますか?

(先輩にやり方を)教えてもらって、(自分でやってみて)実際にうまくいかなくて、2回3回とやったときに、やっと少しずつできるようになるときかな。

――できたら嬉しいですか?

そうですね。今回はこの作業はできるようになったなとか、それはあります。

――覚えることはたくさんありますか?

覚えることは尽きないと思うんですよね。次から次へとあるので。

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伝えたほうがいいかなというところは伝える

――阿部さん(熟練工)は若い人にもいろんなことを、もっと貪欲に覚えて欲しいと、話していましたが、そのあたりはどう感じていますか?

今は、今の仕事を覚えたら次にこれをやるとか、こういう風にしたらいいとか、小出し小出しに技術を習得している感があるので全体的な流れが見えづらいです。

――一人前になるのに10年ほどかかると聞いて大変な世界だなと思いましたが、自発的にもっと学ばないといけないという感じですか?

そうですね。

――先ほど、全体的な流れが見えづらいと言っていましたが、ほかにも課題はありますか?

全体の伝達ミス(が多い)。コミュニケーションが十分行き届いていないように感じる。

――そういう課題に対して、自分で変えていくためにしていることはありますか?

自分もあまり話す方じゃないですけど、改善点に気づいたときに、伝えたほうがいいかなというところは伝えるようにしています。

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インタビュー2016年1月
取材・文/牟田口、神尾
フォトグラファー/木村 雄司(木村写真事務所)

【用語解説】
※1:今治高等技術専門校、今治タオルものづくり科というタオル職人育成のカリキュラムが存在する
※2:フロッピーディスク。織機のデータのやり取りには未だフロッピーディスクで行う場合が多い
※3:織機にセットするための大きな「伸べ(ビーム)」という糸巻きに巻き取る工程
※4:トヨタ自動車の源流である豊田自動織機製1970年代に登場した名織機
※5:スイス製の高速織機

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